基本情報技術者試験の解説:IPアドレス編
コンピュータ関係のエンジニアを目指している人は、いずれ「基本情報技術者試験」の取得を検討しているかも知れません。そのため、過去問題を解いて勉強している人も多いと思います。しかし、解き方が分からず、困っていませんか? 今回は午前中の問題のうちIPアドレスに関する過去問題を3問取り上げ、解説していきます。
基本情報技術者試験の取得に向けて勉強しているのですが、過去問題の解説がなかなか見つからず、困っています。解説してもらえませんか?
今回はネットワークのうち、特にIPアドレスに関する問題の解説をしていきましょう!!
今後は別の分野の解説もおこなっていきます。
ポイント
・ネットワークアドレスを求めることができますか?
・10進数、2進数の変換が行えますか?
・2進数のAND計算ができますか?
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設定できないIPアドレス
IPアドレスはネットワークを利用するためには非常に重要な情報です。まずは、IPアドレスについて詳しくご存じない方は、以前の記事で解説しています。ぜひ、こちらの記事も確認してみてください。
IPアドレスには、端末に設定してはいけない値が2つあります。1つは「ネットワークを表現するために使われるネットワークアドレス」、もう一つは「ネットワーク内の全端末に一斉送信するために使われるブロードキャストアドレス」です。
IPアドレスとサブネットマスクをAND計算すると、ネットワークアドレスが求められます。ネットワークアドレスが求められると、ホストアドレスとして何ビット利用できるかが分かります。
ネットワークアドレスとブロードキャストアドレスは次のように決められています。
「ブロードキャストアドレス」・・ホストアドレス部分が全て「1」
例えば、IPアドレス「192.168.1.1」、サブネットマスク「255.255.255.0」の場合、ネットワークアドレスは「192.168.1.0」となります。ホストアドレスは32ビットのうち、最後の8ビットを使用して表現されます。
ホストアドレスが8ビットの場合、表現できる値は「2の8乗」の「256種類」となります。具体的には、「00000000」「00000001」「00000010」と1ずつ順番に加算され、「11111101」「11111110」「11111111」まどとなります。
この例では、ネットワークアドレスは最後の8ビット(ホスト部分)が「全て0」、つまり「192.168.1.00000000」となります。この2進数を10進数に変換すると「192.168.1.0」となります。一方、ブロードキャストアドレスは最後の8ビット(ホスト部分)が「全て1」、つまり「192.168.1.11111111」となります。この2進数を10進数に変換すると「192.168.1.255」となります。
このネットワークでは端末に設定できるホストアドレスの範囲はネットワークアドレスとブロードキャストの2つを除外した「192.168.1.1から192.168.1.254」となります。
まずは、この「ネットワークアドレス」と「ブロードキャストアドレス」をきちんと理解しておく必要があります。
平成31年度 春期 午前問題 問32
この問題のポイントは「指定されたサブネットマスクが8の倍数になっていない」ということです。通常、サブネットマスクは「255.0.0.0」「255.255.0.0」「255.255.255.0」の3種類のどれかを使うことが多いのですが、この問題では「255.255.254.0」となっています。
このように基本情報技術者試験で出題されるIPアドレスに関する問題は、「サブネットマスクに255以外の値が使われている」場合がほとんどです。
解説
この問題は、ホストアドレスとして使用できる範囲の最大値を質問しています。したがって、与えられているIPアドレスとサブネットマスクから、ホストアドレスが何ビット割り当てられているかを調べなくてはなりません。
その前に、問題中の「192.168.0.0/23」の「/23」は何を表しているのでしょうか? これは、サブネットマスクを「255」の形式ではなく簡素化して表現する場合に利用される表記法です。。正式には「プレフィックス表記」と呼びます。
サブネットマスクは、「1ビット目から必ず1が連続する値」です。その連続する1の数を記述したのがプレフィックス表記となります。サブネットマスクが「255.0.0.0」なら「/8」、「255.255.0.0」なら「/16」、「255.255.255.0」なら「/24」と表記します。
では、この問題のホストアドレスは何ビットでしょうか? プレフィックス表記が「/23」となっているので、「32ビットのうち、先頭から23ビット目までがネットワークアドレスを表す」ということになります。つまり、残りの「9ビットがホストアドレス」となります。
次に「2進数の9ビットで表現できる値の範囲」を考えてみましょう。「2の9乗」で表現できる値は「0から511」までの512種類となります。このうち、端末に設定できない値は「0(ホストアドレスが全て0)」のネットワークアドレスと「511(ホストアドレスが全て1)」のブロードキャストアドレスの2つになります。したがって、端末に設定できるアドレスの範囲は「1から510」、設定できる台数は「最大510台」となります。
以上のことから、答えは「エ 510」となります。
平成30年度 春期 午前問題 問32
この問題のポイントも「指定されたサブネットマスクが8の倍数になっていない」ということです。この問題では「255.255.255.240」となっています。更にネットワークアドレスも最後が0になっていません。このような問題は2進数に変換すると解きやすくなります。
問題中の「割り振ってはいけないIPアドレス」という表現は、「ネットワークアドレスかブロードキャストアドレスをもとめる」ということになります。
解説
2進数に変換して確認する場合、サブネットマスクが「255」になっている部分には注目しません。それ以外の部分に注目します。つまり、ネットワークアドレスの最後の「16」、サブネットマスクの最後の「240」に注目します。
まず、それぞれの値を10進数から2進数に変換します。
サブネットマスクから、ホストアドレスとして利用できるビット数が「4ビット」であることが分かります。サブネットマスクを見ると、8ビットのうち前半の4ビットに1が指定されています。この4ビットがネットワークアドレスを表現する時に利用されるということです。したがって、ホストアドレスの8ビットからネットワークアドレスで使われる4ビットを引くと、残りが4ビットとなり、この4ビットがホストアドレスとして使用されます。
次に各選択肢のアドレスを10進数から2進数に変換してみます。
ホストアドレスで使用できない値は「ホストアドレス部分が全て0」のネットワークアドレスと「ホストアドレス部分が全て1」のブロードキャストアドレスとなります。このことを知っていれば、選択肢を確認した時に「選択肢 エ」がホストアドレス部分が全て1になっているので、このアドレスがブロードキャストアドレスを表し、端末に設割り振ってはいけない値であることが判断できます。
以上のことから、答えは「エ 200.170.70.31」となります。
平成29年度 秋季 午前問題 問35
この問題は、IPアドレスとサブネットマスクからネットワークアドレスを求める手順を知っているかどうかを問われています。
解説
この問題でも、2進数に変換して確認する場合、サブネットマスクが「255」になっている部分には注目しません。それ以外の部分に注目します。つまり、ネットワークアドレスの最後の「19」、サブネットマスクの最後の「240」に注目します。
まず、それぞれの値を10進数から2進数に変換します。
サブネットマスクが「240」なので、上の図のようにネットワークアドレスは「8ビットの前半4ビットまで」となります。したがって、「00010000」の2進数を10進数に変換すると「16」となり、求めるネットワークアドレスは「10.170.70.16」になります。
以上のことから、答えは「イ 10.170.70.16」となります。
まとめ
今回は、基本情報技術者試験のうち、IPアドレスに関する午前問題の解説を行いました。
・2進数に変換してみると、理解しやすい
・ネットワークアドレス、サブネットマスク、ホストアドレス、ブロードキャストアドレスなどの用語を理解していないと解けない
・解き方を一度覚えてしまえば、ラッキー問題!!
基本情報技術者試験の午前問題ではネットワークに関する問題が7問前後、毎回出題されいます。ネットワークについては、基本的に「知っているか、知らないか」しかありません。ぜひ、試験を受験する予定がある人は、じっくりとネットワークの勉強をしてください。
勉強して知っていれば、まさに「ラッキー問題!!」です。
解説はいかがでしたか?
ネットワークの問題は難しく思われますが、実は解き方が決まっているので、一度覚えてしまえば、どんな問題も解けるようになりますよ!!
2進数に変換すれば、解きやすいことが分かりました。でも、10進数と2進数の変換がまだまだ不得手なので、そちらをまず勉強します!!
2進数と10進数の相互変換はパソコンなどの電卓ソフトを使うと簡単に解けますが、一度手計算で試しておいた方が良いですよ。
基本情報技術者試験の午前問題のうち、IPアドレスに関する問題を集中的に解説している記事がありますので、是非合わせて確認してみて下さい。
基本情報技術者試験の午前問題の伝送時間や回線利用率を求める問題の解説は以下の記事をご覧ください。