【超簡単】あなたは理解していますか? IPアドレスの役割

ネットワーク

あなたは理解していますか? IPアドレスの役割

パソコンやスマホ、タブレットなどインターネットに繋がる機器には、必ず「IPアドレス」が設定されています。どんな意味、役割があるのか知らない人も多いのではないでしょうか? 今回はこの「IPアドレス」について初心者でもわかるように説明します。

確かに知らなくても、何となくインターネットが使えているので、わざわざ理解する必要があるのか疑問に思うかもしれません。しかし、この「IPアドレス」が設定されていないと、そもそもインターネットが利用できないほど、重要な役割を果たしています。

IPアドレスが理解できると、「会社や自宅でネットワークの設定を行わなければならない」「急にネットワークが使えなくなり、原因を突き止めたい!!」などといった場面で自力で対応できるようになります。

ポイント

  • 「IPアドレス」はインターネットやネットワークを利用する端末に必ず設定しなければならない情報
  • IPアドレスには「グローバルIPアドレス」と「プライベートIPアドレス」の2種類がある
  •  IPアドレスには「IPv4」と「IPv6」の2つのバージョンがある
    • 現在主に利用されているのは「IPv4」
  • IPv4には「ネットワークアドレス」と「ホストアドレス」の2つの情報が含まれている
  • IPアドレスの設定方法は「自動」か「手動」か
花子さん
花子さん

「IPアドレス」という言葉を聞いたことがあるんですが、これは何をするために必要なんでしょうか? 知らなくても大丈夫ですか?

続石講師
続石講師

最近は自動的に設定されるので、知らない人が多いと思います。でも、ネットワークを使う場合は必ず必要な情報なんです。

この機会にしっかり勉強しておきましょう!!

 

ネットワークでデータをやり取るする仕組み

インターネットやネットワークには多数の端末が接続されています。あなたが誰かにメールを送信した場合、どのようにしてデータは相手まで届くのでしょうか?

ネットワークに接続される端末には、その端末を識別するための情報を設定しなければなりません。自分宛てに荷物や郵便が無事届けられるのは、私たちの自宅に「住所」が付けられているからです。この住所を使えば、日本の中で迷うことなく、きちんと荷物などが届けられます。
このように、たくさんの中から1つの場所を特定するためには、唯一の情報がそこに設定されていなければなりません。

これはネットワークの世界でも同じです。私たちが使用しているパソコンやスマホには、その端末を識別するための情報が設定されています。この情報が「IPアドレス」となります。IPアドレスを使うと、世界中の中から相手の端末を特定でき、無事通信ができるようになります。
ただし、実際データを電気信号に変換して、ケーブルを使って通信する場合は、「Macアドレス」と呼ばれる情報が使われます。今回は「Macアドレス」の説明は省略します。

2種類のIPアドレス

「IPアドレス」はユーザ(または管理者)が設定しなければなりません。設定する場合、まずどこのネットワーク(環境)で端末を利用するか考えなければなりません。ネットワークには、「インターネットのように全世界の誰とでも接続できる環境」と「家庭や会社など限られた人しか接続できない環境」の2種類があります。限られた環境のネットワークを「LAN(ラン)」と呼びます。この環境の違いに合わせて、設定するIPアドレスの種類が異なります。

「インターネット環境で利用するためには、グローバルIPアドレス」、「LAN環境で利用するためには、プライベートIPアドレス」を設定します。

グローバルIPアドレス

インターネットを利用する端末には、グローバルIPアドレスを設定します。「グローバル」とは「世界規模」という意味があります。インターネットでは、世界中に存在する多数の端末の中から自分の端末だけをピンポイントで識別する必要があります。そのためには、どの端末にどんなIPアドレスが設定されているか管理する必要があります。同じグローバルIPアドレスが設定されている端末が複数存在していると、どちらと通信すれば良いのか混乱してしまいます。世界中で利用されているグローバルIPアドレスは、非営利機関によって厳格に管理されています。自由に設定することはできません。

グローバルIPアドレスを利用したい場合、利用料金を支払い、登録してもらう必要があります。一般的にインターネット接続サービスを提供しているプロバイダーと契約する際に、グローバルIPアドレスを利用する手続きを行います。

自分の会社でホームページをインターネットで公開している場合、その端末(サーバ)にはグローバルIPアドレスが設定されています。グローバルIPアドレスを取得していないと、インターネットを利用することはできないのです。

プライベートIPアドレス

一方、インターネットを利用しないネットワーク環境(LAN)に接続する端末にはプライベートIPアドレスを設定します。「プライベート」とは「私的な」という意味があります。プライベートIPアドレスは家庭内や職場内でのみ利用され、インターネット上では利用することができません。したがって、世界規模で厳格に管理する必要もありません。プライベートIPアドレスを利用する場合、自由に設定して構いません。ただし、同じLANで、重複するプライベートIPアドレスを設定することはできませんので注意してください。

プライベートIPアドレスを設定する場合、基本的に自由に設定してよいのですが、利用が推奨されている値が決められています。一般的に、その値を利用します。具体的には、以下の範囲の値です。

  • 10.0.0.0~10.255.255.255(クラスA)
  • 172.16.0.0~172.31.255.255(クラスB)
  • 192.168.0.0~192.168.255.255(クラスC)

この範囲以外が、グローバルIPアドレスとなります。LAN内でIPアドレスを利用する場合は、上記のうちのどれかを利用しましょう。それぞれクラス分けされていますが、違いは物理的に接続できる台数の違いです。クラスAは約1677万台、クラスBは約6.5万台、クラスCは254台となっています。LANで利用されることが多いのはクラスB、家庭内ではクラスCが一般的に使用されています。ただし、これらにも決まりはないので、基本的にどれを使っても問題ありません。

2つのバージョン

IPアドレスには「IPv4」と「IPv6」の2つのバージョンがあります。ここでは、それぞれの特徴について説明していきます。

IPv4の特徴

現在、ネットワークを利用するほとんどの端末に設定されているのが、IPv4と呼ばれるバージョンです。古くから使用されていたバージョンで、日本では非常によく利用されています。ただし、設定できる台数が少ないので、インターネットが爆発的に普及した現在では、IPv6への移行作業が徐々に進んでいます。

データ量 32ビット
表現方法 8ビットずつ区切り、「.(ピリオド)」で連結
表記法 10進数
表記例 192.168.1.1
設定可能台数 約41億台
設定方法 自動/手動

IPv4を利用する場合、どの範囲を利用するのか検討(設計)し、設定します。自動で設定する場合も、サーバなどにどの範囲の値を設定するのか、あらかじめ決めておかなければなりません。

IPv4のIPアドレスは設定作業に手間がかかります。

IPv6の特徴

IPv4の欠点は、設定できる台数が少ないことです。それに比べてIPv6は設定できる台数が約340癇(かん)台となり、ほぼ無限に設定できることとなります。現在、IoTなどの小型装置をインターネットに接続し、様々なサービスが提供されていますが、これらの小型装置にも個別のIPv6のIPアドレスを設定することができます。今後、家庭内の家電もインターネットに接続する可能性が高いので、ほぼ無限に使えるIPv6は今後も注目されるでしょう。

データ量 128ビット
表現方法 16ビットずつ区切り、「:(セミコロン)」で連結
表記法 16進数
2001:db8::
設定可能台数 約340癇台(340兆の1兆倍の1兆倍)
設定方法 自動

IPv6を利用する場合、検討(設計)することはほとんどありません。IPv6を利用するように端末を設定しておけば、電源を投入すると自動的にIPv6のアドレスが設定されます。

管理が非常に便利で、設定できる台数も非常の多いので注目されているのですが、IPv4との互換性が全くありません。今までIPv4を使っていて、IPv6に変更しようとした場合、ネットワーク機器の購入しなおしなど導入コストがかかってしまいます。したがって、しばらくはIPv4とIPv6は併用されるはずです。

2つの情報

ネットワークに接続する端末には、必ずIPアドレスの設定が必要です。その理由は、ネットワークに接続されている多数の端末の中から、目的の端末1台を特定するためです。ネットワークを利用する場合、ネットワークを複数の小さなネットワー(サブネットワークと呼ぶ)に分割します。

100台のパソコンを1つの大きなネットワークで管理すると、データの送受信時にデータの衝突が発生し、ネットワークの動作が遅くなる危険性があります。それを解決するために、「20台×5つのネットワーク」のようにネットワークを分割します。大きなネットワークを複数の小さなネットワークに分割することによって、データの衝突が発生する箇所を限定(狭く)することができます。全社員を営業部、開発部のように部署ごとに分散させて、効率的に業務を行うのと同じ考え方です。

IPアドレスには、「どこのサブネットワークに所属しているか」を示す情報が必要となります。IPアドレスには、所属するサブネットワークの情報として「ネットワークアドレス」、サブネットワーク内で設定される個別の情報として「ホストアドレス」の2種類の情報が含まれています。

ネットワークアドレス

所属するネットワークを識別するために利用される情報が「ネットワークアドレス」になります。コンピュータは、私たちユーザがデータの送信などを行うと、相手のIPアドレスと自分の端末に設定されているIPアドレスを比較し、ネットワークアドレスから同じネットワークに所属しているかどうか、チェックします。同じネットワークアドレスが設定されている場合、データを直接相手の端末に送信します。一方、ネットワークアドレスが異なる場合、違うネットワークに所属していると判断され、データを直接相手の端末に送信することができないため、ルータやL3SW(エル3スイッチ)と呼ばれる中継装置にデータ転送を依頼します。

ネットワークアドレスは、このように「直接送信できるか、中継装置に転送を依頼するか」を判断するために使われる非常に重要な情報です。では、ネットワークアドレスはIPアドレスの表記のうち、どの部分が該当するのでしょうか?

IPアドレスを設定する場合、同時に「サブネットマスク」と呼ばれる情報も端末に設定しなければなりません。一般的に「255.255.255.0」といった形式で指定されるデータです。IPアドレスの値とサブネットマスクの値を「AND計算」し、求められた値がネットワークアドレスを示します。ネットワークアドレスは設定されたサブネットマスクの値によって、変わってきます。

IPアドレスが「192.168.1.1」、サブネットマスクが「255.255.255.0」の場合、ネットワークアドレスは「192.168.1.0」となります。計算方法は以下の通りです。

ネットワークアドレスは一般的に「最後の数個が「0」になるアドレス」です。複雑なネットワークの場合、0以外の値になることもありますが、単純なネットワークの場合は「0」になることがほとんどです。

ホストアドレス

ホストアドレスはネットワーク内で端末を識別するために利用される情報です。同じネットワーク内で重複する値を設定することはできません。

ネットワークアドレスが求められたら、IPアドレスと比較し、ネットワークアドレスで「0」になっている部分に該当する値をIPアドレスから取り出せば、その値が「ホストアドレス」になります。

IPアドレスが「192.168.1.1」、サブネットマスクが「255.255.255.0」の場合、ネットワークアドレスは「192.168.1.0」となりました。IPアドレスとネットワークアドレスを比較し、「0」の部分と該当する値は「1」となります。これがホストアドレスです。

つまり、この端末は「192.168.1.0ネットワークに所属し、1番のホストアドレスが設定されている端末」ということになります。

IPアドレスの設定方法

ネットワークを利用する場合、端末にはIPアドレスを設定しなければならないことは分かってもらえたと思います。では、実際はどうようにしてIPアドレスを端末に設定するのでしょうか?

設定方法は「自動設定」と「手動設定」の2種類があります。どちらを利用するかは、端末で事前に指定しておかなければなりません。

自動設定

「自動設定」が指定されている場合、電源を投入すると自動的にネットワークに関連する様々な情報が設定されます。自動設定を利用するには、ネットワーク内に「DHCPサーバ」を別途構築しておく必要があります。「DHCP」は「Dynamic Host Configuration Protocol」を意味し、「動的に端末の設定を行うための仕組み」となります。

DHCPサーバには、複数の端末が利用できるようにあらかじめ設定可能なIPアドレスの範囲が設定されています。端末から設定依頼が届いたら、その範囲内で現在利用できるIPアドレスを貸し出しています。端末側では電源が投入されると、DHCPサーバにネットワークに関する情報のレンタルを申請します。DHCPサーバが現在利用可能な情報を端末に提示し、その値が自動的に端末に設定されます。

手動設定

「手動設定」が指定されている場合、あらかじめ利用するIPアドレスとサブネットマスクを端末に設定しておかなければなりません。ネットワークの情報が勝手に書き換えられてしまうと、セキュリティ上問題が発生する(「本来許可されていないネットワークに接続できてしまう」など)ため、通常はシステム管理者が設定作業を行います。

設定する台数が多い場合、手動設定は手間が非常にかかります。したがって、自動取得を利用する環境が増えつつあります。しかし、手動設定にはひとつ大きな利点があります。それは、IPアドレスが端末に固定的に設定されるため、どの端末がいつ何をしたのか、どこのネットワークに接続したのか、などの履歴を把握することができます。

セキュリティインシデント(情報漏洩などセキュリティに関して発生した事件)が起こった場合、その原因を追究する必要があります。その際、IPアドレスから操作した社員などを割り出すことができるのです。自動設定の場合、設定されているIPアドレスが日によって変更される可能性があり、昨日と今日では同じIPアドレスでも使用している社員が異なる、ということが起こりえます。そうなると、利用者の追跡は不可能になってしまいます。

まとめ

今回は、「IPアドレス」について説明してきました。

 

  • IPアドレス」はインターネットやネットワークを利用する端末に必ず設定しなければならない情報
  • IPアドレスには「グローバルIPアドレス」と「プライベートIPアドレス」の2種類がある
  •  IPアドレスには「IPv4」と「IPv6」の2つのバージョンがある
    • 現在主に利用されているのは「IPv4」
  • IPv4には「ネットワークアドレス」と「ホストアドレス」の2つの情報が含まれている
  • IPアドレスの設定方法は「自動」か「手動」か

 

IPアドレスは、日ごろ頻繁に目にする情報ではありません。したがって、IPアドレスの知識は軽視されがちです。しかし、今回説明したようにネットワークを利用する場合、必ず設定しなければならない重要な情報です。また、設定を間違えてしまうとネットワークが一切使用できなくなります。

どのような仕組みでネットワークが利用できるのか理解するとともに、何らかの障害が発生した時にその原因を突き止めて改善できるようにするためにも、この機会にIPアドレスを少しでも理解してみてください。

 

花子さん
花子さん

IPアドレスという情報には、色々な情報や意味が含まれていたんですね!! 直ぐには利用しないかも知れませんが、これから意識して情報収集などを行ってみたいと思います。

続石講師
続石講師

実際、ネットワークを利用する場合、もっと細かい説明が必要になるのですが、今回は簡単な説明だけにしました。これからは、ぜひ自分でもインターネットなどで調べてみてください。。

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