勉強するなら最初におすすめするプログラム言語6選
プログラミングの勉強を始める場合、どの言語を選べばよいのでしょうか? 初心者が最初に悩む問題だと思います。インターネットで検索すると、「Python」や「JavaScript」をすすめる記事がたくさんあります。現在、注目されている、人気のある言語なので間違いではありません。
しかし、本当にあなたは「Python」や「JavaScript」がおすすめされているから、という理由だけで選んでも大丈夫なのでしょうか?
今回は、初心者の人がプログラミングの勉強を始める際に、どのプログラミング言語を選べばよいのか、簡単に説明します。プログラム言語はたくさんの種類がありますが、今回は厳選して6言語を取り上げます。
初心者の人が最初にプログラムの勉強するには、どの言語を選べばよいのでしょうか?
プログラム言語はそれぞれ特徴があります。今回は、厳選した6言語についてその特徴を説明します。それを参考に自分に合ったものを選んでください。
プログラム言語を選ぶ基準は「何をしたいか?」
まず、プログラム言語を勉強する際、最終的にプログラミングの知識を習得して、何をしたいのか? を考えてください。「ただプログラミングの知識を得たいだけ」なのか、「何か具体的なものを作りたい」のか、または「仕事に役立てたい、就職するため」なのか。
せっかく一生懸命プログラミングの知識を学んでも、自分が考えている目的を実現できなければ仕方がありません。
目的がはっきりしている場合、それを実現できるプログラム言語を選んで、勉強した方が時間の無駄がなくなります。
プログラミングの知識はどんな場合も必要
プログラミングの知識を勉強すると、色々なプログラムが自分で開発できるようになります。しかし、実際の仕事では、どのプログラム言語を使う場合でも、最終的には「フレームワーク」を使うことがほとんどです。
「フレームワーク」は、アプリケーションの開発を効率的にすすめるための「統一されたルール(枠組み)」となります。プログラムを開発する場合、どのように記述するのか、ファイル名はどのように付けるのか、ファイルはどこに保存するのか、などのルールがきちんと決められています。
フレームワークを使うことで、経験の浅い技術者が作っても、ベテランの技術者が作っても、一定の品質が保証されます。作る技術者のレベルによる質のばらつきがなくなります。
また、フレームワークを使うと、自動的に必要なファイルのひな形を作成してくれるので、入力するプログラムのコード量が減少する場合もあります。
つまり、フレームワークを使うと、ゴリゴリとプログラムを自分で入力しなくても、ファイルが作成されるようになります。
今までプログラム言語で記述したコードをフレームワークが肩代わりしてくれます。したがって、プログラマはプログラミングの知識が多少なくても、フレームワークを使えればシステムを完成させることができます。
フレームワークを使うと、プログラミングの知識はあくまでもベースとなる一部分でしかありません。
確かにフレームワークはプログラマの作業の省力化を行ってくれますが、だからと言って、プログラミングの知識がなくてもいいわけではありません。初心者にとっては、プログラミングの知識を身に付けるのは非常に大変な作業と言えます。ですが、習得した知識は例えフレームワークを使う場合であっても、役立ちます。
ぜひ、自分の目的に合った言語を選び、しっかりとプログラミングの知識を身に付けてください。
Java
まず最初に「Java」を取り上げます。このサイトでも、おすすめのプログラム言語として過去に解説しています。
特徴
Javaは当初、組み込み機器を制御するために開発されています。しかし、インターネットの普及を考慮し、より汎用的に使えるように開発が見直されました。
Javaが利用されている分野は次の通りです。
- 組込み分野
- ブルーレイレコーダーなどの制御で使われています(機器の裏側にはJavaのマークがついています)
- ICカードやSIMなどでも使われています
- Web系
- 金融系のWebサイトのほとんどで使われています(正確にはJavaサーブレット)
- Androidアプリ
- Androidアプリの多くは、今でもJavaで開発されています
このように、Javaは幅広い分野で利用されていることが分かります。
利点
汎用的に利用されているJavaには次のような利点があります。
- 一度開発したプログラムは、どのOSでも変更せずに実行させることができる
- OS毎に修正する手間が省けるため、開発コストを下げられます
- どんなハードウェア(パソコン、スマホ、タブレット、対応テレビなど)でも実行できます
- 実際の求人が非常に多い
- 私の知っている企業の担当者は「Javaができる人材が欲しい」という話をよくしています
欠点
Javaの欠点には次のようなものがあります。
- 歴史が古いので、若干プログラムの書き方が面倒
- 新しい言語(互換性のある「Kotlin」など)と比べると、書き方が洗練されていません
- 業務で利用する場合、ライセンス料金を支払わなければならない
- ただし、個人の場合は今まで通り無償で利用できます
私の個人的な意見としては、Javaは問題となるような欠点はないと考えています。
JavaScript
Webブラウザで実行されるプログラムを開発する場合、このJavaScriptしか選択肢はありません。
特徴
Webブラウザに表示したホームページの情報に「動き」を追加するために使われます。ホームページ上で文字を左右に動かしたり、色を変化させたりすることができます。見た目を華やかにできるので、多くのユーザがこぞってJavaScriptを利用していました。しかし、あまりプログラミングの知識を持たないユーザも見よう見まねで作っていたので、非常に実行速度が遅い劣悪なページも数多くありました。その結果、「JavaScriptは使えない言語」というレッテルを貼られ、敬遠されました。
しかし、GoogleがJavaScriptとAjaxという技術を利用して、「Googleマップ」を発表すると、その使いやすさや便利さから、改めてJavaScriptが注目されるようになります。今ではホームーページでJavaScriptが使われていないサイトがないほど、当たり前のように使われています。
利点
JavaScriptには次のような利点があります。
- 簡単にプログラムを開発、実行することができる
- 作成するためには「エディタ」、実行するためには「Webブラウザ」があればよいので開発環境を準備する手間が全くありません
欠点
JavaScriptは初心者にすすめられるプログラム言語ですが、次のような欠点があります。
- HTML、CSSの知識が必要
- ホームーページ上で動きを付加する場合、JavaScriptの知識以外にHTMLやCSSの知識も必須となります。プログラミングの知識以外の技術まで併せて勉強しなければなりません
- DOM(Document Object Model)の知識が必要
- ホームーページ上で表示された情報(HTMLやCSS)を制御する場合、DOMという技術を利用して、対象となる情報を特定しなければなりません。この技術もプログラミングの知識とは直接関係ないものになります。
このように、JavaScriptは「手軽で、初心者向き」と言われますが、実はプログラミングと直接関係ないことまで理解しなければなりません。したがって、個人的には、初心者にはあまりおすすめしません。ただし、実行結果がきらびやかに動いたりするので、楽しいのは事実ですが。
Python
現在、ダントツに人気のあるプログラム言語です。多くの人が興味を持っている言語です。
特徴
「AI(人工知能)」「機械学習」など、注目されている技術で利用されている言語です。プログラム言語としては、他の言語と大差はないのですが、ライブラリが充実しているのが特徴です。
ライブラリを使うだけで、難解なAIや機械学習を簡単に処理することができます。
利点
Pythonの人気がある利点には、以下のものがあります。
- プログラムのコードが見やすい
- 「インデントを必ずつける」など記述する場合のルールがきっちりと決まっています。したがって、人によって見た目(インデントのあり/なし)が違うことはありません
- Webアプリなど汎用的に利用できる
- Pythonを学習すれば、Java同様さまざまなシステム開発を行うことができます
欠点
Pythonには次のような欠点があります。
- 実行速度が遅い
- インタプリタ型と呼ばれる実行形態なので、実行速度が他の言語と比較すると遅くなります。なお、インタプリタ型とは、プログラムを1行ずつ機械語に変換しながら実行する実行形態を意味します。
- 求人がまだまだ少ない
- プログラマへの就職を考えている場合、他の言語と比較すると、それほど多いとはいません。現時点ではすぐに就職に役立つかは明言できませんが、今後は増えてくると予想されます。
PHP
Webアプリケーション(Webサーバで実行されるプログラム)の開発で利用されてきた言語です。
特徴
現在は「Wordpress」とセットで利用されることが多くなっています。この「Wordpress」はデータベースを利用しブログを簡単に提供する無償のソフトです。「Wordpress」のカスタマイズをPHPで行うため注目されています。
Webサーバ上で実行されるプログラム(CGI)を作成するために開発された言語です。現在、ほとんどのレンタルサーバでPHPが利用できるようになっています。
利点
PHPの利点には、次のようなものがあります。
- HTMLファイル内に直接記述することができる
- JavaScript同様、HTMLファイル内にプログラムを記述することができます。JavaScriptとの違いは、そのプログラムがどこで実行されるかになります。JavaScriptのプログラムは「Webブラウザ上で実行」されますが、PHPのプログラムは「Webサーバ上で実行」されます
- Webアプリケーションの開発に必要な機能が初めから用意されている
- Webアプリケーションでは、「セッション管理」や「do/get通信」などHTTP通信独特の機能があります。それらを簡単に処理できるような機能が初めから用意されているので、Webアプリケーションを比較的容易に開発することができます
欠点
PHPの欠点は、以下の通りです。
- Webサーバを別途用意しなければならない
- PHPのプログラムはWebサーバ上で実行されます。したがって、動作確認するためには事前にWebサーバを用意しておく必要があります。サーバのインストールおよび設定には専門の知識が必要となります。なおXAMMPというソフトを利用すると、Webアプリケーションに必要な「Webサーバ」「PHP」「データベース」を自動的にインストールしてくれます
- Webアプリケーション以外での使用用途がない
- 基本的にWebアプリケーション以外のシステム開発で利用されることはありません
Ruby
ほとんどのプログラム言語は海外製ですが、唯一日本産なのがこのRubyです。
特徴
日本人の「まつもとゆきひろ」氏が1995年に発表したプログラム言語です。Webアプリケーションに特化したプログラム言語として普及しています。他の言語と同様にオブジェクト指向の概念を取り入れられています。ただし、他の言語よりも「よりオブジェクト指向」と言えます。他の言語では整数などのデータはオブジェクトではありません。しかし、Rubyでは整数も含めて「すべてがオブジェクト」として扱われます。SmallTalkと呼ばれる言語の影響を受けています。
利点
Rubyの利点は、以下の通りです。
- 日本産なので情報量が非常に多い
- 他の言語は海外製なので、情報は基本的に英語で提供されています。したがって、日本語に翻訳されるまで、若干時間がかかります。また、変な日本語訳になっている場合もあります。つまり、必要な情報が簡単に手に入らないことがあります。しかし、Rubyは日本産なので情報を日本語でダイレクトに入手することができます
- Webアプリケーションが効率よく開発できる
- フレームワークの「Ruby on Rails」を利用することでWebアプリケーションを手軽に開発することができます。開発期間が短いWebアプリケーションの開発に向いています
- プログラムの記述がシンプル
- 他のプログラム言語と比較すると、入力するコード量が少なく、理解しやすくなっています
欠点
Rubyの欠点は、以下の通りです。
- Webアプリケーション以外での使用用途がほとんどない
- PHP同様、Webアプリケーション開発に特化したプログラム言語なので、それ以外のシステム開発で利用されることはほとんどありません。スマホアプリを開発できるツールは別途用意されていますが、あえてRubyを使って開発するメリットはないと思います
- インタプリタ型なので、実行速度が遅い
- Python同様、インタプリタ型なので他のコンパイラ型言語と比較すると実行速度が遅い場合があります
- 人によって、コードの記述が違う場合がある
- 「記述がシンプルで見やすい」と利点で説明しましたが、同じ処理を行う場合でも、何種類も書き方がある場合があります。したがって、人によって書き方が異なり、知らない書き方をされていると理解しづらい場合があります
C#
マイクロソフト社が開発したプログラム言語です。
特徴
マイクロソフト社が開発しているので、Windowsとの相性が非常に良い言語です。Windows対応のソフトウェアを開発する場合のほとんどで利用されています(実行速度を高速にする必要がある場合、CやC++が使われます)。Windows上で実行されるGUIアプリケーションが非常に簡単に開発できます。
利点
C#の利点は、以下の通りです。
- 簡単にGUIが開発できる
- ボタンやチェックボックスなどの部品があらかじめ用意されているので、マウスを使ってドラッグするだけで簡単にGUI画面が作成できます。また、ボタンをクリックしたら、決められた処理を実行するなどのイベント処理も容易に記述することができます
- VR/ARのアプリケーションが開発できる
- VR(仮想現実)/AR(拡張現実)に対応したアプリケーションが容易に開発できます。HMD(ヘッドマウントディスプレイ)の普及により、今後ニーズが高まると予想されています
- 2D/3Dのゲームが開発できる
- 「Unity」と呼ばれるツールと併せて利用すると、簡単にゲームが開発できます。ゲームを開発するために、C#を勉強する人も多数います
- 求人数が比較的多い
- C#を利用した仕事は継続して量が多くなっています
欠点
C#の欠点は、以下の通りです。
- Linuxでの開発には向いていない
- C#を利用する場合、IDE(統合開発環境)としてマイクロソフト社が提供している「Visual Studio」を利用します。このソフトはWindows版/Mac版があるのですが、Linux版がまだありません。したがって、Linux上でC#の開発を行う場合、Visual Studioが使えないため、効率的な開発ができません
まとめ
今回は、初心者におすすめなプログラム言語6選の紹介をしてきました。それぞれの言語には利点と欠点があります。どのような分野で利用するかによって、選択する言語が決まってきます。
- Webアプリケーション
- Java,JavaScript,Python,PHP,Ruby
- Windowsソフトウェア
- C#
- 汎用的
- Java,Python
しかし、上記の分類のようにはっきりと区別されるわけではありません。現在は様々なツールを組み合わせることによって、どの言語も汎用的に利用できるようになっています。
今回は、利点だけではなく、欠点についても説明しました。
初心者の方は、自分で何を作りたいのかをまず考えて、それを実現するためにどの言語が良いのか、検討してください。
分からない時の情報の入手のしやすさも勉強する上では重要な要素となります。
私はWeb系の仕事をしたいので、PHPかRubyを勉強してみます!!